いつもは事例紹介や「はじわか」の記事を書いていますが、今回はセミナーの参加レポートに挑戦!
2024年5月22日(水)に行われた「みんなの資料作成Fes」のレポートを書いてみたいと思います。

みんなの資料作成Fesとは
Adobe Acrobat オンラインツールのPR企画として始まった「みんなの資料作成」プロジェクトがスピンオフ!デザイン業界やマーケティング業界で活躍する「10人の登壇者」を迎えたウェビナーイベント

1人10分で登壇するという試みが楽しみだったのと、オンラインで資料にフィードフォワード(視聴者がそれぞれの資料にコメントする企画)する試みも面白いです。
ウェブライダーのお二人のまったりしたオープニングでリラックスした状態でセミナーに臨めました。

ここからは個人的なメモのようなセミナー参加レポートをお届けします!
※アイキャッチはセミナーの画像を使わせてもらいましたが、NGでしたらお知らせください

セッション01
「直感的な理解に繋がる!表とグラフの正しい見せ方・作り方」

井水 大輔さん(株式会社エスファクトリー)

数値は形式を整えて認識をしやすく

表記を整えることも大事、数値、小数点、%、円など小数点以下を整えましょう

なくてもいい線は消す

ただ際立てるのではなく、余分な線を消して(引き算の考え方)ポイントを目立たせるようにする

結論に繋がらない情報は消す

伝えたい情報以外はノイズになってしまうので、ポイントだけ色を付けるなど分かりやすくする

テキストを記号やグラフで言い換える

グラフや表の中で繰り返される「ある、なし」などのテキストは「〇」や「×」などの記号に置き換えると読み手の負担がへる

「パッと見た時に理解できる資料のポイント」という視点で見やすいグラフを教えていただきましたが、伝えたい部分を強調して、余計な情報は極力減らすという点は情報設計に繋がる部分で資料作成以外にも活きると感じました!

セミナー内で紹介されたグラフのビフォーアフターは非常に分かりやすくて資料作成の参考になりました!
自分も資料を作成する時に、特に図は情報が多くなりがちなので、ポイントを絞って大胆に引き算していきたいと思います。

簡単なポイントで分かりやすいグラフを作るテクニックではありますが、本質的な情報設計のお話とも感じました。

セッション02
「デジタルマーケの成果を最大化するWebライティング」

齊藤 麻子さん(株式会社LIG、LIGブログ編集長/人事部長)

まこりーぬさんのライティングセッション、楽しみにしていました!
資料作成といえば文章作成でもあるので、自分の弱点なので正座待機です。(書籍も購入済み!)

読んでみたいと思ってもらえる「タイトル」作りを

記事コンテンツの場合は受動的な接点(SNSなど)なので、一瞬で「読んでみたい」と思ってもらえるパンチ力が必要。

クリックする動機が明確

タイトルは本文を包括した一文になりがち、記事をひとことでまとめる考え方でなく、その先を知りたくなるようなタイトルの付け方が大事。
答えを出さずに上品に隠すこともポイント。

  • 知りたい
  • 共感する
  • おもしろそう

「SEOはやっぱり専門家に頼るべき」その理由は? → 知りたい
「自分でやった方が早い病」を克服したい。 → 共感する
「LIGブログを売却したらいくらになるかM&A専門家に聞いてみた」 → おもしろそう

パッと見でわかる

タイトルは短いが正義、パッと見で分かるにこだわろう!

結局のところ、そのタイトルは自分でクリックしたくなる?という視点で振り返ってみると良い。

簡単そうに見えて自分では気付きづらいポイントなので、ホワイトペーパーでも記事でもタイトルは他の人に見てもらうなど客観的な視点でも気付きを得たいと思いました!

セッション03
「伝わりやすく美しい!スライド資料のデザインを洗練させる4つのコツ」

fuyunaさん(株式会社necco)

1.位置・大きさ・形を揃える

文字の先頭を揃える、各要素の間隔を均等にすると分かりやすくなる。
長文は中央揃いは読みづらいので、左揃えにすると良い。

画像の大きさがバラバラだと見づらいので、同じ大きさにすると情報が整理されて読みやすくなる。
被写体の画角もそろえると尚良い。
ボックスの形もバラバラだと見づらい(意味や優劣がないなら)ので、揃えると視線の流れがスムーズになる。

2.メリハリをつける

文字の大きさにメリハリをつける、タイトルは大きくなど、表も強調部分に色をつける
強調したいテキストの背景色をつけても見やすくなる
資料だと背景色を思い切ってかえると印象が強くなる(背景に写真を使っても印象が変えられる)

数字を強調するのも良い、数字は大きく単位は小さくしてメリハリをつける

3.余白を意識する

余白が少ない表は窮屈な印象なので、表のまわりに余白をつけると上品な印象に。
ただし、余白もバランスよくしたいので、文字のサイズや位置を調整して余白とのバランスを考えましょう

写真は思い切って余白を完全になくし、全面に配置しても印象的。

4.イラストや画像を活用する

時にはテキストだけでなく、画像やイラストを活用するとイメージしやすくて良い。
ビジュアル+テキスト、イラスト+テキストで、より分かりやすく伝えることができる。

デザインのコツということで、これも自分が苦手なポイントなので楽しみにしていました。
しかし、fuyunaさんのスライドがとても綺麗でした!!デザインの解説も説得力が増しました。

チームでつくるデザイン。neccoの舞台裏
https://cssnite.doorkeeper.jp/events/173546

セッション04
「ノンデザイナーがすぐに実践できる、美しい資料作成のための配色とテキストデザインの法則」

牧野 健人さん(株式会社リラクス)

配色のポイント

色を組み合わせることは意外と難易度が高いこと。
配色が難しいという点が資料作成の難しさに繋がることもあるので、以下のポイントで配色してみよう。

  • メインカラー1色 + 無彩色(モノクロ)
  • 色数を増やす場合はツールで算出

目立たせたいので複数の色を使いたくなるが、メインカラーと無彩色だけでもうまく表現できる。
例えば、目立たせるポイント以外を無彩色にして相対的に目立つように調整しましょう。
テキストの装飾も同じ色+太字で強調できるよ。
また、色を使わずに太字と下線だけでも強調させることができる。

色数を増やしたい場合はカラーホイールなどのツールを活用することで適切な配色をサポートしてくる。

AdobeColor
https://color.adobe.com/ja/

テキストデザインのポイント

テキストの適切な文字サイズを担保する。
サイズ設定も難易度が高いので、こちらもツールを活用することがおすすめ。
適切な文字サイズを教えてくれる。

Typescale
https://typescale.com/

ノンデザイナーが実践できるというタイトルがすでに自分に刺さるので嬉しい内容です!
セッションの対象を始めに伝えていたのも意図が分かりやすくて印象的でした。
すぐに使えるツールの紹介もあり非常に勉強になりました。

セッション05
「魅力的なプレゼンのために!スライド内イメージ画像の探し方・選び方」

染谷 昌利さん(株式会社MASH)

文字だけの方がシンプルでカッコいいと思っていたけど、画像があるとより伝わる。
視覚的な理解を促せるし、興味や関心を引き付ける、さらに感情に訴えることもできる。

イメージ画像の探し方と活用法

同格(並列)、対比、因果(時系列)など、イメージ画像と解説のマッチングが大切。
画像集めは一日して成らず

素材サイトから探してみよう
Adobe Stock 、ぱくたそ、写真AC、イラストACなど。
無料の素材サイトも多いので自分にあったサイトを活用しよう。

検索の仕方
イメージが固まっている場合はキーワードやフィルター条件で絞って探す。

類似画像
近しい画像があれば類似画像検索をして探す。

見つからなければ生成する
Adobe Express や Adobe Firefly などを活用。
プロンプトが難しいがなければ作るという精神!

画像の効果的な使い方

  • 大きくダイナミックに
  • オーバーレイ、重なるイメージ
  • Fの法則
  • Zの法則

目線を意識して画像を配置すると見やすい資料になる。

スライド内の画像は言われてみれば探すのが大変でした!
ブログ記事でも資料作成でもサンプル画像は結構苦労していた点なので勉強になりました。
お話自体がとても面白く、セミナーのゴールが「楽しみ方」という点もいいなと思いました!

AIの画像生成は経験が足りないので使っていきたいです。

セッション06
「これできちんと伝わる!営業資料をプレゼン用スライドに変えるためのコツ」

佐野 五月さん(irohazum)

営業資料をそのままプレゼン用スライドとして使っている人に向けた内容。

営業資料をそのままプレゼン資料として使わない方が良い理由

詳細場があるし話すべき内容が入っているからそのままでも良いのでは?と思うかもしれません。
営業資料は情報が多すぎて聞き手も負担が多い。

  • 情報過多でメッセージが伝わらない
  • プレゼンテーションのよさを活かせない

プレゼンテーションは話し手の表情や声も大事!
資料の読み上げだけでは退屈に感じてしまう。

資料を流用してスライドを作る

営業資料を分解してスライドを作ろう。

  • 見出し – 主要メッセージ
  • トランジション – セクションの開始
  • コンテンツ

伝わるスライドのコツ

  • トークの補佐になるスライド
  • 1スライド 1メッセージ
  • テキストを削る
  • ムダな装飾を入れない

スライドに情報が多いと聞く側の負担になる。
目と耳から情報が入るので、情報は多すぎないように。
スライド資料 = 紙芝居をイメージ

営業資料は作成経験があったのでお話がスムーズに聞けました。
実演もありとても楽しく学べました!分かりやすくて本当に勉強になりました!!
こうやって見ると営業資料は情報が詰め込まれ過ぎて提案には重たすぎますね・・・。

セッション07
「なぜ資料は美しくあるべきか、資料における美しさとは何か」

荒砂 智之さん(NTTコミュニケーションズ株式会社 KOEL Design Studio by NTT Communications (NTTコミュニケーションズ株式会社内組織))

テーマを選んだ理由、資料は美しい方が良いとは言われるが、なぜそう言われるのかを深掘りしてみた。

なぜ美しくあるべきか?の理解

そもそも美しいとはなにか
美とは感覚を通じて脳に働きかける事物それぞれが持つ性質
神経美学の一節

美とひとことで言っても色々な感じ方がある。
美は主観的な体験で文脈によって変わる。

資料における美しさとは

視覚 = 表面的な美しさ
評価 = 内面的な美しさ

表面的な美しさを求めると時間がかかり過ぎてしまう。
しかし見た目が雑だと内容が乏しい、信頼できないと思われてしまう。

資料の美しさ = シンプル と捉えることもできたけど、資料の見栄えは読み手の信頼に関わる部分でもあるの大事にしたいと思いました!
美しい資料は信用できる、というコメントも流れていましたが、美しさの視点も考えておきたいですね!

違ったアプローチの内容で面白かったです。

セッション08
「もう不平等を生まない!社内ルールの整備から学んだ、わかりやすい情報の伝え方とルールの作り方」

小野寺 幸多さん(株式会社キーワードマーケティング)

コミュニケーションの課題をルール整備で解決しよう

暗黙知
個人的なノウハウ、属人的な部分

形式知
マニュアル、ルール化された知識

ノウハウがどこに蓄積されているか分からず情報の格差が生まれる
コミュニケーションで不満が出て離職に繋がる、などコミュニケーションの問題はよくないよ。

社内wikiの立ち上げで解決

Kibela を使って情報共有。
社内でツール導入したことで、ルールを作ることを「Kibela化」と呼ぶくらい浸透した。

ルールの種別と定義などを言語化する。
記述ルールは最低限にして簡単に行動できるような環境を意識。

資料作成のテーマから、社内ルールのお話が出るのはとても興味深かったです。
ノウハウの言語化、共有は資料の作り方にも影響する部分だと思いますし、組織においては大事な点だと感じました。

形式知を作っていくことで組織の力を高められるし、ノウハウは特に言語化、共有は必要ですよね!
「調べれば分かること」がちゃんと書いてあるのは大事だ。

セッション09
「図解がつくれると伝わり方が変わる! 初心者のための図解作成ガイド」

鷹野 雅弘さん(株式会社スイッチ)

そもそも図解とは?

図解の類語を出してみよう、、ピクトグラム、チャート、ビジュアル。
データチャート、テーブル、コンセプトチャートなど、図解はいろいろなチャートを指したりする。

図解のメリット

テキストだけのスライド、ちょっと読むのがつらい。
図解を添えると読む気になるし、内容をよりはやく理解しやすくなる。

図解は左脳と右脳の橋渡しができる。
図解は読み手がコンテンツを読み解く工程を肩代わり(手助け)してくれる
読み手の負担が減る。

テキストの箇条書きよりも、図解は要素同士の関係性を表現できる。

図解の作り方

主題(テーマ)を決める、伝えたいメッセージを決める。
図解を分かりやすく見せるには情報の構造をしっかり考えておく必要がある。

  • キーワードをピックアップ
  • マインドマップで関係性をまとめる
  • 型にあてはめていく

まずはラフに作っていって整理していく。
作成した図解が主題を伝たわるものになっているか確認。

型はいろいろなパターンがあるので持っておくといい!

鷹野さんのnote
https://note.com/swwwitch

鷹野さんが自分で放送画面の操作とか音響やりながらセッションしてると思うと凄すぎる!!
そしてセッション自体も分かりやすくて勉強になりました。
ここまでのセミナーの内容をまとめながらも自分の議題に向かっていくトークも素敵でした。
引き込まれるセミナーでした!

セッション10
「相手のYes!を引き出す、説得力のあるプレゼン資料作成術」

松尾 茂起さん(株式会社ウェブライダー)

説得力の正体とは

ふわっとしているけどビジネスで大事な説得力という言葉。
相手に「それを得たい!」と感じてもらうための説明力。

  • その主張や情報を心に受け入れたい
  • その主張や情報を覚えておきたい
  • それを経験してみたい

得たいという感覚が「お得感」
お得感のある提案資料を作れるといい。

お得感からの納得感

「得たい!」と感じ、心に納めてもいいなと思える感情。

説得、納得してもらうえないとき
得体のしれないもの、受け入れがたいと感じてしまうとき

では、納得感を醸成するには

  • メリットを感じた
  • 成功イメージをもてた
  • 確信を得られた
  • 経験に基づいて理解できた

など、共感を得られた、反応を得られたら納得してもらえる。
そのための検討すべきアクション。(セミナー資料にリストがあります!)

  • 他の選択肢と比較した際の優位性を伝えられる
  • 納得できるデータを表示できる

など、納得してもらうためのアクションを考えていく必要がある。

説得力のある提案(納得感のある提案)をするために意識すること

  • 相手にとってのメリットをしっかり説く
  • 相手の自分事化する
  • 論理を丁寧に積み上げて、論理飛躍、論理矛盾をなくす
  • 適切な情報量を提供する
  • 話者の素性や実績などの背景情報を伝える

特に弊社のサイトに記載はしていませんが、ウェブライダーのOBである齋藤としては、師匠の松尾さんのセミナーは必聴ということで楽しみにしていました!

冒頭のセミナー内容の話からのプロフィール紹介への繋がりがスムーズで素晴らしかった。(説得力があった)
提案資料を作る時には説得力、納得感を大事にしたいと思います!
あと、やっぱり楽しいプレゼンでした!

みんなの資料作成Fesを完走した感想

資料作りのポイントを色々な視点から聞けるボリュームたっぷりのセミナーで、考えた方やすぐに使えるテクニックなど、参考になる点が多く勉強になりました。
また、それ以上に、実際に10分でセミナーを行っている講師の皆様の資料や講義自体がためになりました!
資料は簡潔に作られていて、補完するための講義を10分でまとめて話すということは簡単なことではないですよね。

10分を10人で繋ぐオムニバス形式のウェビナーという点も個人的に印象深かったです。
ライブ感もありつつ、お手軽に(10分で学べるという意味で)資料作成のポイントを教えてもらえるというのも重すぎず参加しやすかったです。

個人的には佐野さんのセッションが印象的でした!
営業資料からの転換というアプローチで、資料の見やすさとプレゼンの在り方が同時に分かりやすく伝わりました。
プレゼンの実演があることで納得感もあり、小難しい資料は嫌だなぁと実感しました!

最後に皆さんで話している時の資料作成の先には人がいる「ヒューマンタッチ」という点も、今回の企画のまとめとして素敵な表現でした。

「みんなの資料作成Fes」とても有意義なセミナーでした!
司会のお二人、講師の皆様、運営の方々、貴重な時間をありがとうございました!