「サイトからの問い合わせが増えない」
「マーケティング施策はいろいろ行っているが、どこに効果が出ているのか分からない」


こうした課題を整理するときに役立つのが、マーケティングファネルです。

マーケティングファネルは、顧客が自社を知ってから比較・検討し、問い合わせや契約に至るまでの流れを段階ごとに整理したもので、BtoBでは契約後の継続や紹介まで含めて設計することで、集客から営業、既存顧客との関係まで一連の流れとして捉えられます。

この記事では、AISASをベースにBtoBマーケティングの流れを9つのステージに分け、それぞれの顧客の状態、自社の施策、KPIの考え方を解説します。
さらに、ステージ間の移行率やCRMとの連携まで、作ったあとに実際の改善に使えるマーケティングファネルの設計方法を紹介します。

マーケティングファネルとは

マーケティングファネルとは、顧客が自社を知ってから比較・検討し、問い合わせや契約に至るまでの流れを段階ごとに整理したものです。

「ファネル(funnel)」は漏斗を意味します。
多くの見込み客が段階が進むにつれて人数が減り、最終的に一部の顧客が契約に至る様子を漏斗の形に例えています。

ただし、マーケティングファネルは顧客の流れを図にすること自体が目的ではありません。
各段階の数字を確認し、どこで顧客が離脱しているのか、どこに改善すべき課題があるのかを見つけるために使います。

ファネルは顧客の流れを段階ごとに整理するもの

顧客は、商品やサービスを知ってすぐに問い合わせるとは限りません。
まず自社の課題に気づき、解決方法を調べ、複数の選択肢を比較し、そのうえで問い合わせや商談へ進みます。

BtoBでは検討期間が長くなることも多いため、この流れをひとまとめにせず、顧客の状態に合わせていくつかの段階に分けて考えることが重要です。

段階ごとに整理すると、それぞれの顧客に必要な情報や、自社が行うべき施策も考えやすくなります。

ファネルで「どこに課題があるか」を把握する

たとえば、「サイトからの問い合わせが少ない」という課題があったとしても、原因はひとつではありません。

  • そもそもサイトへの流入が少ない
  • 流入はあるが、自社の解決策に気づいてもらえていない
  • 比較・検討はされているが、料金や事例が不足している
  • 問い合わせはあるが、商談につながっていない

どこに問題があるかによって、必要な施策は変わります。

流入が少なければ、SEOや広告などによる接点の拡大が必要です。
比較段階で離脱しているのであれば、事例や料金、サービス内容の見直しが必要かもしれません。
問い合わせ後に商談へ進んでいないのであれば、営業対応や返信速度を見直す必要があります。

マーケティングファネルを使うことで、「問い合わせが少ない」という結果だけを見るのではなく、その手前のどの段階に課題があるのかを分けて考えられるようになります。

BtoBでは契約後まで含めて考える

一般的なマーケティングファネルは、認知から購入・契約までを中心に描かれます。
一方、BtoBでは契約後の継続取引や追加受注、紹介、事例への協力なども重要です。

そのため、この記事では契約までの流れを「パーチェスファネル」、契約後の流れを「インフルエンスファネル」として分け、2つをつなげて考えます。
契約した顧客が成果を実感し、他社への紹介や事例としての発信につながれば、そこから新しい顧客との接点が生まれます。

BtoBのマーケティングファネルは、契約をゴールにするのではなく、その後の顧客との関係まで含めて循環する仕組みとして設計することがポイントです。

BtoBマーケティングファネルの全体像

ここからは、今回の記事で使用するBtoBマーケティングファネルの全体像を見ていきます。
顧客が課題に気づいてから契約に至り、その後に継続や紹介、発信へ進むまでの流れを、9つのステージに分けて考えます。

パーチェスファネルとインフルエンスファネル

BtoBのマーケティングファネルは、大きく2つに分けて考えます。
顧客が課題に気づき、解決策を探し、発注先を選んで契約するまでの「パーチェスファネル」と、契約後に成果を実感し、継続取引や紹介、事例・口コミなどの発信につながる「インフルエンスファネル」です。

今回の9つのステージでは、潜在層から商談・提案までがパーチェスファネルにあたります。
受注・成約は2つのファネルをつなぐ位置にあり、その後の継続、紹介、発信がインフルエンスファネルにあたります。

BtoBでは、既存顧客からの紹介や事例が、新しい顧客の認知や検討につながることも少なくありません。
契約までを一方通行で考えるのではなく、契約後の活動が次の顧客獲得につながる循環として設計することが重要です。

AISASをBtoB向けに9つのステージへ分解する

今回のファネルは、AISASの考え方をベースにしています。
AISASは、次の5つの行動プロセスで顧客の動きを捉えるモデルです。

  • Attention:注意・認知
  • Interest:関心
  • Search:検索
  • Action:行動
  • Share:共有

ただし、BtoBではこの5段階だけでは、実際の営業活動や契約後の動きを十分に分けて考えにくい部分があります。
そこでこの記事では、AISASをそのまま使うのではなく、BtoBの実態に合わせて9つのステージに分解しています。

  • 01 潜在層
  • 02 顕在層
  • 03 明確層
  • 04 検討層
  • 05 商談・提案
  • 06 受注・成約
  • 07 継続
  • 08 紹介
  • 09 発信

AttentionからSearchまでは、顧客の課題認識や情報収集の段階として整理します。
Actionは、「問い合わせや発注先の選定」と「実際の商談・提案」を分けて考えます。

Shareもひとまとめにせず、「継続」「紹介」「発信」に分けることで、契約後の顧客との関係を具体的に捉えられるようにしています。

このように9つへ分けることで、それぞれの段階で顧客が何を考え、どのような行動を取り、自社が何をすべきかを整理しやすくなります。

パーチェスファネルの5つのステージ

パーチェスファネルは、顧客が課題に気づいてから、解決策や発注先を比較し、商談・提案へ進むまでの流れです。

この記事では、BtoBの購買プロセスを「潜在層」「顕在層」「明確層」「検討層」「商談・提案」の5つのステージに分けて考えます。それぞれのステージでは、顧客が考えていることや必要としている情報が異なります。

同じ施策をすべての顧客に行うのではなく、現在の状態に合わせて次のステージへ進むための情報や接点を用意することが重要。

潜在層|課題に気づいてもらう

潜在層は、漠然とした不満や悩みはあるものの、まだ課題として明確に認識していない段階です。

たとえば、

「Webサイトはあるが問い合わせが少ない」
「営業活動がうまくいっていない気がする」

と感じていても、何が原因なのかまでは整理できていません。
この段階では、すぐに自社の商品やサービスを売り込むのではなく、顧客自身に課題を認識してもらうことが重要です。

業界の課題を紹介する記事や調査データ、よくある失敗をまとめたコンテンツなどを通じて、「自社にも同じ問題があるかもしれない」と気づくきっかけを作ります。

潜在層のゴールは、自社の商品を知ってもらうことではなく、まず課題を言語化してもらうことです。

顕在層|解決策を知ってもらう

顕在層は、自社に何らかの課題があることは分かっているものの、どのように解決すればよいのかが分からない段階です。

「サイトを改善すべきなのか」
「広告を出すべきなのか」
「SEOに取り組むべきなのか」

など、解決の方向性を探しています。

課題の原因や解決方法を分かりやすく伝えながら、自社がどのような支援をできるのかを知ってもらいます。

あわせて、ホワイトペーパーやチェックリスト、資料ダウンロードなどを用意し、見込み顧客との接点を作ることも重要です。
ここで獲得した見込み顧客をMQLとして管理できるようになると、その後の顧客育成にもつなげやすくなります。

明確層|解決する手段を選ぶ

明確層は、課題を解決する必要性を理解し、具体的な手段を選んでいる段階です。

「自社で対応するか外部へ依頼するか」
「Webサイトを全面的にリニューアルするか一部だけ改善するか」

たとえば、上記のような選択をしています。
この段階で重要なのは、顧客が判断するための基準を提供することです。

選び方を解説する記事や、複数の方法を比較したコンテンツ、料金の考え方、課題別の事例などを用意すると、自社を候補のひとつとして検討してもらいやすくなります。

明確層では「どの会社に頼むか」よりも、まず「どの手段で解決するか」を選んでいる点がポイントです。

検討層|発注先を選ぶ

検討層は、解決する手段がある程度決まり、具体的な発注先を比較している段階です。

「自社と近い課題を解決した実績があるか」
「費用は妥当か」
「どのような体制で進めるのか」

など、より具体的な条件を確認します。
明確層が「手段を選ぶ段階」であるのに対して、検討層は「会社を選ぶ段階」と考えると違いが分かりやすくなります。

そのため、サービス内容だけではなく、事例、料金、進行方法、担当体制など、発注後を具体的にイメージできる情報が重要になります。
また、BtoBでは担当者だけで意思決定できるとは限りません。

上長や経営層などの決裁者に説明するための費用対効果、スケジュール、体制などの資料を用意しておくことも、商談へ進んでもらうための重要な施策です。

商談・提案|提案内容と条件をすり合わせる

商談・提案は、問い合わせ後に顧客の課題や要望を確認し、具体的な提案内容や費用、スケジュールなどをすり合わせる段階。

「この提案で自社の課題を解決できるか」
「予算内で実現できるか」
「追加費用が発生する可能性はないか」

顧客は、上記のような点を確認しています。
この段階では、顧客から聞いた要望をそのまま提案書にまとめるだけでは十分ではありません。

ヒアリングした内容をもとに課題を整理し、自社がどのように解決できるかを提示することが重要。
予算やスケジュールに制約がある場合は、段階的に導入する方法など、複数の選択肢を用意することも有効です。

商談・提案のゴールは成約です。

成約しなかった場合も失注理由を記録しておくことで、その後の提案やマーケティング施策の改善につなげられます。

受注・成約は2つのファネルをつなぐポイント

受注・成約は、パーチェスファネルのゴールであると同時に、インフルエンスファネルのスタート地点でもあります。

顧客が契約した時点で、新規顧客を獲得するための活動はいったん区切られます。
しかし、BtoBでは契約して終わりではありません。

契約後には、サービスの導入やオンボーディングを進め、顧客に成果を実感してもらう段階へ移ります。
ここで十分な成果や満足を得られれば、継続取引や追加の相談につながり、さらに他社への紹介や事例への協力といった動きも生まれます。

反対に、契約後の支援が十分でなければ、継続や紹介にはつながりません。

そのため、受注・成約をマーケティングファネルの終点として捉えるのではなく、「新規顧客の獲得」から「既存顧客との関係づくり」へ切り替わるポイントとして考えることが重要です。

この記事では、この受注・成約を境に、次の「継続」「紹介」「発信」をインフルエンスファネルとして整理します。

インフルエンスファネルの3つのステージ

インフルエンスファネルは、契約後の顧客との関係を「継続」「紹介」「発信」の3つのステージで捉えたものです。

BtoBでは、一度の契約だけで顧客との関係が終わるとは限りません。
継続取引や追加受注につながることもあれば、成果を実感した顧客から他社を紹介してもらったり、事例として発信してもらったりすることもあります。

こうした契約後の活動までファネルに含めることで、既存顧客との関係を維持するだけではなく、次の新規顧客の獲得につなげる流れとして考えられるようになります。

継続|成果を実感してもらう

継続は、契約後にサービスを利用・運用しながら、顧客に成果を実感してもらう段階です。

BtoBでは、契約しただけでは継続取引にはつながりません。
導入後の支援や定期的なコミュニケーションを通じて、顧客が「依頼してよかった」と感じられる状態を作ることが重要です。

たとえば、アクセス解析や広告運用などでは、単に数値を報告するだけではなく、その数字が何を意味しているのか、今後どのように改善していくのかまで説明します。

成果を分かりやすく共有することで、継続契約や追加の相談にもつながりやすくなります。

このステージでは、継続率やLTV、追加受注の件数などをKPIとして確認します。

紹介|他社への紹介につなげる

紹介は、顧客がサービスの成果や対応に満足し、他社や知人に自社を薦めてもらう段階です。

BtoBでは、紹介をきっかけに商談が始まるケースも少なくありません。
ただし、顧客が満足していても、自動的に紹介が発生するとは限りません。

成果が出たタイミングで紹介をお願いしたり、自社のサービスを説明しやすい資料を用意したりすることで、紹介につながるきっかけを作ります。

紹介件数や紹介経由の商談数などを確認することで、既存顧客から新しい商談がどの程度生まれているのかを把握できます。

発信|事例や口コミとして広げる

発信は、顧客との取り組みや成果を、事例やインタビューなどの形で外部へ伝えてもらう段階です。
代表的なものには、導入事例、お客様の声、インタビュー記事、共催セミナーなどがあります。

こうしたコンテンツは、これからサービスを検討する顧客にとって重要な判断材料になります。

また、顧客側にとっても、自社の取り組みをPRできたり、採用や広報に活用できたりする形にすると、事例への協力を得やすくなります。

発信された事例や口コミは、新しい顧客が自社を知ったり、比較・検討したりする際の接点になります。
つまり、インフルエンスファネルの「発信」はそこで終わるのではなく、次の顧客のパーチェスファネルへ戻る入口にもなります。

各ステージに設定する7つの項目

ファネルのステージを決めたら、それぞれの段階で顧客がどのような状態にあり、自社が何をするのかを具体的に整理します。

この記事では、各ステージに「ユーザーの心情」「ユーザーの状況」「ユーザーの行動」「検索クエリ」「自社の打ち手」「期待するアクション」「KPI」の7つの項目を設定します。

前半の4項目は顧客側、後半の3項目は自社側の視点です。

顧客側と自社側を分けて考えることで、「顧客はこう動くだろう」という想定だけで終わらず、その状態に対して自社が何をするのかまで具体化できます。

ユーザーの心情

ユーザーの心情には、そのステージにいる顧客が考えていることや感じていることを書きます。
たとえば潜在層であれば、「サイトから問い合わせが来ないが、何を変えればよいのか分からない」といった状態です。

できるだけ自社側の言葉に置き換えず、実際に顧客が使いそうな言葉で整理します。
営業や問い合わせ対応のなかで実際に聞いた言葉があれば、それを活用すると顧客像を具体的にしやすくなります。

ユーザーの状況

ユーザーの状況には、顧客が置かれている客観的な状態を書きます。
心情が「何を考えているか」であるのに対して、状況は「実際にどのような状態にあるか」を整理する項目です。

たとえば、予算がまだ決まっていない、社内で情報収集を始めた、上長への説明が必要になった、複数社から見積もりを取っている、といった内容です。

BtoBでは担当者だけで意思決定できないケースも多いため、社内の検討状況や決裁者の存在まで含めて考えます。

ユーザーの行動

ユーザーの行動には、そのステージで顧客が実際に行うことを書きます。

Web検索をする、記事を読む、サービスページを見る、資料をダウンロードする、問い合わせる、複数社から見積もりを取るなど、観測できる行動を具体的に整理します。

心情や状況だけでは顧客が次のステージへ進んだか判断しにくいため、実際の行動まで設定しておくことが重要です。
アクセス解析やCRMで取得できる行動であれば、その後のKPIにもつなげやすくなります。

検索クエリ

検索クエリには、そのステージの顧客が検索しそうなキーワードを書きます。
同じテーマでも、検討段階によって検索する言葉は変わります。

課題に気づき始めた段階では原因や解決方法を調べ、検討が進むと料金、事例、比較、依頼先など、より具体的な検索へ変化していきます。

検索クエリをファネルと対応させることで、「どの顧客に向けて、どのようなコンテンツを用意すべきか」を整理しやすくなります。

検索クエリとコンテンツの対応については、後ほど詳しく解説します。

自社の打ち手

自社の打ち手には、顧客を次のステージへ進めるために、自社が実際に行う施策を書きます。

ここで重要なのは、主語を「自社」にすることです。
たとえば、「顧客に課題へ気づいてもらう」ではなく、「課題を解説する記事を公開する」と書きます。

そのほかにも、「事例ページを追加する」「料金の考え方を公開する」「問い合わせから24時間以内に返信する」など、実際に担当者が行動できる内容まで具体化します。

顧客の状態と自社の施策を混同しないことが、ファネルを実行可能な計画にするポイントです。

期待するアクション

期待するアクションには、自社の打ち手によって顧客に次に取ってほしい行動を書きます。

記事を読んでもらう、サービスページへ移動してもらう、資料をダウンロードしてもらう、問い合わせてもらう、商談へ進んでもらうなどです。

自社の打ち手と期待するアクションをセットで考えることで、「何のためにこの施策を行うのか」が明確になります。
コンテンツを作る場合も、読んでもらうこと自体を目的にせず、そのあとにどのような行動へつなげたいのかを決めておきます。

KPI

KPIには、そのステージが機能しているかを確認するための指標を設定します。
たとえば、セッション数、MQL数、問い合わせ数、商談数、成約数、継続率、紹介件数などです。

ただし、件数だけを追っていると、ファネルのどこに課題があるのか判断しにくくなります。
そのため、各ステージの「数」とあわせて、次のステージへ進んだ「移行率」も確認できるようにします。

KPIと移行率の具体的な設計方法については、後ほど詳しく解説します。

ファネルから離脱した顧客の受け皿も設計する

マーケティングファネルは左から右へ進む形で描かれますが、実際の顧客がすべて順番どおりに進むわけではありません。
途中で検討をやめたり、予算やタイミングが合わずに商談が止まったり、提案後に失注したりすることもあります。

そのため、ファネルを設計するときは、次のステージへ進む流れだけではなく、途中で離脱した顧客をどのように扱うかも決めておくことが重要です。

たとえば、潜在層で接点を持ったものの具体的な検討に進まなかった顧客には、SNSやメールマガジンなどで緩やかに情報を届けます。

顕在層で資料をダウンロードしたものの問い合わせに進まなかった顧客には、事例やセミナーなど、その後の検討に役立つ情報を継続的に提供できます。

検討層や商談・提案まで進んで失注した場合は、失注理由を記録しておくことが重要です。
「予算が合わなかった」「時期が早かった」といった理由であれば、数か月後に再び検討が始まる可能性があります。
一方で、サービス内容や提案そのものが合わなかった場合は、同じ方法で追客しても成果につながりにくいため、理由に応じて対応を分けます。

このように、離脱した顧客の受け皿をあらかじめ決めておくことで、一度獲得した見込み顧客をそのまま失うことなく、再検討のタイミングに合わせて接点を持てるようになります。

ファネルは一方通行の流れではなく、途中で止まった顧客や一度離脱した顧客が再び戻ってくることも前提に設計することがポイントです。

検索クエリとマーケティングファネルを対応させる

Webマーケティングでは、顧客が検索する言葉から、その人がどのような情報を求めているのかを推測できます。
まだ課題について調べている段階と、具体的な依頼先を探している段階では、検索するキーワードも異なります。

そのため、検索クエリをマーケティングファネルの各ステージと対応させることで、「どの段階の顧客に、どのようなコンテンツを用意するか」を整理しやすくなります。

検索クエリは、検索する目的によって「Know」「Do」「Buy」「Go」の4つに分けて考えます。

Knowクエリ|情報を知りたい

Knowクエリは、何かについて知りたい、疑問を解決したいときの検索です。
「〇〇 できない」「〇〇 方法」のように、課題の原因や解決方法を調べる検索が該当します。

マーケティングファネルでは、主に潜在層から顕在層に対応します。

この段階では、商品やサービスを直接訴求するよりも、課題を整理する記事や基本的な解説記事、チェックリストなどが適しています。

まずは顧客が自分の課題を理解し、次の行動を考えられる情報を用意します。

Doクエリ|方法や依頼先を探している

Doクエリは、何かを実行したい、具体的な方法を知りたいときの検索です。
「〇〇 やり方」「〇〇 依頼」「〇〇 選び方」といった検索が該当します。

マーケティングファネルでは、顕在層から明確層を中心に対応します。

この段階では、具体的な方法を解説するノウハウ記事や選び方の記事、サービスページなどが受け皿になります。

顧客自身で対応する方法だけではなく、外部へ依頼する場合の選択肢や判断基準も提示することで、次の比較・検討につなげます。

Buyクエリ|料金や購入条件を調べている

Buyクエリは、サービスの料金や見積もりなど、具体的な発注を前提として調べる検索です。
「〇〇 費用 相場」「〇〇 見積もり」といったキーワードが該当します。

マーケティングファネルでは、明確層から検討層に対応します。

この段階の顧客は、すでに解決方法についてある程度理解しているため、料金ページや費用の考え方、導入事例など、発注を判断するための具体的な情報が重要になります。

料金だけを掲載するのではなく、費用が変わる条件やサービスに含まれる範囲まで説明しておくと、比較・検討しやすくなります。

Goクエリ|特定の会社やサービスを探している

Goクエリは、特定の会社やWebサイトへ移動することを目的とした検索です。
「会社名」「会社名 評判」のように、すでに特定の企業やサービスを認識している状態で検索します。

マーケティングファネルでは、検討層以降に現れやすい検索です。

この段階では、会社概要や実績一覧、お客様の声など、顧客が「この会社に依頼してよいか」を確認できる情報が重要。

指名検索をする顧客は自社への関心が高まっているため、必要な情報へ迷わずたどり着ける導線も整えておきます。

検索クエリとファネルを対応させておくと、コンテンツを企画するときにも目的が明確になります。
「どのキーワードを狙うか」だけではなく、「どのステージの顧客に向けたコンテンツなのか」「読んだあとに何をしてほしいのか」まで決めてから制作することが重要です。

アクセスを集めるだけではなく、次のステージへ進むためのコンテンツを各段階に用意することで、サイト全体をファネルに沿って設計できるようになります。

KPIは「数」と「移行率」の両方を設定する

マーケティングファネルを実際の改善に使うためには、各ステージにKPIを設定します。

ここで重要なのは、セッション数や問い合わせ数といった「数」だけではなく、次のステージへ進んだ割合である「移行率」もあわせて確認することです。

数と移行率をセットで見ることで、ファネルのどこに課題があるのかを具体的に判断できるようになります。

件数だけでは課題の場所が分からない

たとえば、Webサイトからの問い合わせが月10件から15件に増えた場合、一見すると成果が改善しているように見えますが、問い合わせから商談へ進む割合が40%から20%に下がっていれば、商談数は4件から3件に減っています。

問い合わせ数だけを見ていると、この変化には気づきにくくなります。
そのため、ファネルでは各ステージの件数だけではなく、次のステージへどれだけ進んだのかを確認する必要があります。

ステージ間の移行率を確認する

移行率は、あるステージにいた顧客のうち、どの程度が次のステージへ進んだのかを示す割合です。
たとえば、次のような移行率を設定します。

  • セッションからMQLへの移行率
  • MQLからWeb CVへの移行率
  • Web CVから商談への移行率
  • 商談から成約への移行率

この数字を継続して確認すると、「アクセスは集まっているがリード獲得につながっていない」「問い合わせはあるが商談化していない」といった課題を見つけやすくなります。

改善するべき場所が分かれば、すべての施策を一度に見直すのではなく、ファネルの細くなっている部分から優先して改善できます。

目標成約数から必要な数を逆算する

移行率を設定すると、最終的な目標から各ステージに必要な数を逆算できます。
たとえば、月1.5件の成約を目標とし、次の移行率を仮定します。

ステージ必要数(月)計算
受注・成約1.5件目標値
商談・提案5件1.5 ÷ 30%
Web CV12.5件5 ÷ 40%
MQL約42件12.5 ÷ 30%
セッション約4,20042 ÷ 1.0%

この場合、月1.5件の成約を得るためには、約4,200セッション、42件のMQL、12.5件のWeb CV、5件の商談が必要という見立てになります。

「セッション数が足りないのか」
「MQLへの転換が弱いのか」
「商談から成約への移行率に問題があるのか」

実際の数字と比較すれば、上記のどれに当たるかを判断できます。

最初から正確な移行率が分からなくても問題ありません。
まずは仮の数字を設定し、アクセス解析やCRMに実績が蓄積されたら、実際の移行率へ置き換えていきます。

契約後のファネルにもKPIを設定する

KPIが必要なのは、新規顧客を獲得するパーチェスファネルだけではありません。
契約後の「継続」「紹介」「発信」にも、それぞれ数字を設定します。

たとえば、継続では継続率やLTV、追加受注件数を確認します。
紹介では紹介件数や紹介経由の商談数、発信では事例公開数や事例ページからのCV数などを確認できます。

契約後の活動にもKPIを設定することで、カスタマーサクセスや既存顧客への対応を「できれば行う活動」ではなく、次の売上や新規顧客の獲得につながる施策として評価できるようになります。

マーケティングファネルをCRMと連携する

マーケティングファネルを作成しても、各ステージの数字を確認できなければ、継続的な改善にはつながりません。

そこで、ファネルの各ステージとCRMのステータスを対応させ、顧客が現在どの段階にいるのかをデータとして管理します。
マーケティングと営業で同じ基準を使えるようになるため、見込み顧客の数やステージ間の移行率も確認しやすくなります。

ファネルのステージとCRMのステータスを対応させる

まず、ファネルの各ステージがCRM上のどの状態に当たるのかを決めます。
たとえば、次のように対応させます。

ファネルのステージCRMでの管理例
潜在層アクセス解析で管理
顕在層リード:新規・育成中
明確層リード:関心あり・対応中
検討層リードから商談へ変換
商談・提案商談:提案・見積提出・交渉
受注・成約商談:受注
継続取引先:契約中・保守契約あり
紹介取引先:推奨者
発信取引先:事例掲載可

すべてをCRMだけで管理する必要はありません。

たとえば、まだ個人を特定できない潜在層はアクセス解析で管理し、資料ダウンロードや問い合わせなどでリード情報を取得した段階からCRMで管理するといった分け方ができます。

重要なのは、ファネル上の状態と実際に使っているツールのデータが対応していることです。

次のステージへ進む条件を決める

CRMと連携するときは、ステータスだけではなく、次のステージへ進む条件も決めておきます。
たとえば、次のような条件です。

  • 資料をダウンロードしたら顕在層として管理する
  • 問い合わせや無料相談があれば明確層から検討層へ進める
  • 初回打ち合わせを実施したら商談化する
  • 提案や見積もりを提出したら商談・提案として管理する
  • 契約が成立したら受注へ変更する

この条件を「移行トリガー」として明文化しておくことが重要です。

同じ顧客でも、担当者によって「まだ検討中」「すでに商談」と判断が分かれてしまうと、ステージごとの件数や移行率を正しく比較できなくなります。

誰が判断しても同じステータスになるように、できるだけ客観的な行動や出来事を基準にします。

CRMのデータから件数と移行率を確認する

ファネルとCRMを対応させると、日々の営業活動で蓄積したデータから、各ステージの件数を集計できるようになります。
さらに、前のステージから次のステージへ進んだ件数を集計すれば、移行率も確認できます。

たとえば、問い合わせは増えているのに商談化率が下がっている場合は、問い合わせ後の対応に課題がある可能性があります。

商談数は十分でも成約率が低ければ、提案内容や価格、競合との比較などを見直す必要があります。

CRMとマーケティングファネルをつなぐことで、感覚ではなく実際の顧客データをもとに改善する場所を判断できるようになります。

ファネルを設計するときは、図を完成させてから数字の取り方を考えるのではなく、「この数字をどのツールのどの項目から取得するか」まで決めておくことがポイントです。

マーケティングファネル設計でよくある5つの失敗

マーケティングファネルは、ステージを並べるだけでは実際の改善に使えるものになりません。
ここでは、ファネルを設計するときに起こりやすい5つの失敗を紹介します。

ステージごとの違いが曖昧になっている

隣り合うステージで、顧客の状態や施策がほとんど同じになっているケースがあります。
特に混同しやすいのが、明確層と検討層です。

明確層は「どの手段で解決するか」を選んでいる段階、検討層は「どの会社に依頼するか」を選んでいる段階です。
この違いが曖昧になると、それぞれのステージで用意するコンテンツや施策も同じになってしまいます。

ステージを分けるときは、「顧客はこの段階で何を選んでいるのか」を基準にすると整理しやすくなります。

問い合わせから受注までをひとまとめにしている

問い合わせをそのままコンバージョンのゴールとして扱い、その後の商談や提案をファネルに含めていないケースもあります。
しかし、問い合わせが増えても、商談や受注につながらなければ最終的な成果は増えません。

問い合わせから受注までには、初回対応、ヒアリング、提案、見積もり、社内検討など、複数の段階があります。

「問い合わせから商談へ進んだ割合」と「商談から成約した割合」を分けることで、問い合わせ後の対応に問題があるのか、提案内容に問題があるのかを判断しやすくなります。

KPIが件数だけになっている

セッション数、問い合わせ数、商談数、成約数など、各ステージの件数だけをKPIにしている場合も注意が必要です。
件数だけでは、ファネルのどこで顧客が進まなくなっているのかを判断できません。

各ステージの数に加えて、次のステージへ進んだ移行率も確認します。

「数」と「移行率」をセットで見ることで、改善すべき場所を特定しやすくなります。

離脱した顧客の戻り道がない

実際の顧客は、必ずしもファネルを順番どおりに進むわけではありません。
予算やタイミングなどを理由に途中で検討をやめたり、一度失注したあとに再び検討を始めたりすることもあります。

離脱した顧客をそのまま放置すると、それまでに作った接点を活用できません。

メールマガジンや事例の案内などで接点を維持したり、失注理由に応じて一定期間後に再接触したりするなど、ファネルへ戻る経路もあらかじめ設計しておきます。

決裁者向けの施策が用意されていない

BtoBでは、問い合わせをした担当者が最終的な決裁者とは限りません。
担当者がサービスに納得していても、上長や経営層への説明ができず、社内稟議で止まってしまうことがあります。

そのため、検討層では担当者向けの情報だけではなく、決裁者が判断するための情報も用意します。
費用対効果、導入スケジュール、支援体制、導入実績などをまとめた資料があると、担当者が社内で説明しやすくなります。

ファネルを設計するときは、顧客企業のなかで「誰が情報を集め、誰が比較し、誰が最終的に決めるのか」まで考えることが重要です。

ハイファイブが考えるマーケティングファネル設計のポイント

マーケティングファネルは、きれいな図を作ることが目的ではありません。
作成したファネルをもとに数字を確認し、課題を見つけ、施策を改善できる状態にすることが重要です。

そのためには、ファネルを作る段階で「各ステージの数字をどこから取得するのか」まで決めておく必要があります。
たとえば、潜在層のセッション数はアクセス解析、見込み顧客の情報はCRM、商談や受注の状況は営業データといった形で、ステージごとに情報源を対応させます。

数字の取得方法が決まっていなければ、ファネルを作っても現在の状況を確認できず、改善につながりません。

ファネルを作る前に計測方法を決める

ファネルを設計するときは、顧客の心情や施策から考え始めることが多いと思います。
もちろんそれらも重要ですが、実際に運用することを考えると、先に「何を計測するか」「どこから数字を取得するか」を整理しておくことをおすすめします。

たとえば、次のように考えます。

  • セッション数はアクセス解析から取得する
  • 資料ダウンロードや問い合わせはCRMへ登録する
  • 商談化したタイミングでCRMのステータスを変更する
  • 受注や失注の結果を商談データとして記録する
  • 継続や紹介、事例掲載の状況も顧客情報として管理する

こうしておけば、ファネルの各ステージに現在何件いるのか、次のステージへどの程度進んでいるのかを継続的に確認できます。

サイト制作の時点で予めデータ取得を想定しておくとスムーズに運用・効果測定に進めます。

ファネルは一度作って終わりではない

マーケティングファネルは、一度完成させたらそのまま使い続けるものではありません。
最初に設定したステージや移行率は、実際の顧客の動きと合わないこともあります。

運用を始めたら、CRMやアクセス解析に蓄積された実績値を確認しながら、定期的に見直します。
想定より移行率が低いステージがあれば、その原因を確認し、コンテンツや営業対応などの施策を改善します。

逆に、当初想定していなかった顧客の動きが見つかれば、ステージや移行条件そのものを見直すこともあります。

ファネルを固定された設計図ではなく、実際の顧客データをもとに更新していく仕組みとして使うことが、成果につなげるためのポイントです。

BtoBマーケティングファネルのExcelテンプレート

ファネルとCRMステータスの対応

ハイファイブでは上記のように Miro を使ってファネルを視覚化して目標や施策を書き込んでいますが、今回ここまで紹介した9つのステージをもとに、実際に自社のマーケティングファネルを設計できるExcelテンプレートを用意しました。

顧客の状態や自社の打ち手を整理するだけではなく、KPIや移行率、検索クエリ、必要なコンテンツ、CRMとの対応までまとめて設計できます。

最初からすべてを埋める必要はありません。
まずは分かる範囲で仮置きし、実際の顧客データや営業活動をもとに更新していく使い方を想定しています。

BtoBマーケティングファネル Excelテンプレートをダウンロード

Excelテンプレートに含まれる内容

テンプレートには、次のシートが含まれています。

  • 全体像・記入ガイド
  • 潜在層から発信までの9つのステージ別シート
  • KPI・移行率設計
  • 検索クエリ設計
  • コンテンツ・制作物一覧
  • 施策一覧
  • CRM対応表

ステージ別のシートでは、「ユーザーの心情」「ユーザーの状況」「ユーザーの行動」「検索クエリ」「自社の打ち手」「KPI」などを整理できます。

あわせて、それぞれのステージで顧客が離脱した場合の受け皿と、次のステージへ進む条件も記入できるようにしています。

KPI・移行率設計では、目標成約数と各段階の移行率を入力すると、必要な商談数、Web CV数、MQL数、セッション数を逆算できます。

コンテンツ一覧や施策一覧も用意しているため、ファネルを作るだけではなく、「現在何が足りていないのか」を整理するためにも利用できます。

マーケティングファネルの記入手順

テンプレートは、次の順番で記入すると整理しやすくなります。

  1. 「全体像・記入ガイド」で、サービス、想定顧客、単価、検討期間、主な流入経路などの前提を整理します。
  2. 9つのステージ別シートで、「ユーザーの心情」から記入します。
    営業やサポートで実際に顧客から聞いた言葉があれば、できるだけそのまま使います。
  3. 顧客の状況や行動を整理したあと、「自社の打ち手」を記入します。
    ここには、自社が実際に行う施策だけを書きます。
  4. 各ステージで顧客が途中離脱した場合の「受け皿」を決めます。
    メールで継続的に情報を届ける、一定期間後に再接触するなど、その後の対応まで整理します。
  5. 「KPI・移行率設計」に目標成約数と移行率を入力します。
    最初は仮の数字でも構いません。
  6. 「CRM対応」で、各ステージとCRMのステータスを対応させ、次のステージへ進む条件を決めます。
  7. 運用を始めたら、3か月程度を目安に実績値を確認します。
    仮置きした移行率を実際の数字へ置き換え、移行率が低くなっているステージから改善していきます。

テンプレートには記入例も入れています。
自社のサービスや営業プロセスに合わせて、ステージ名や項目、KPIなどを変更して利用してください。

マーケティングファネルは継続的に改善していく

BtoBマーケティングファネルは、顧客が自社を知ってから契約に至るまでだけではなく、契約後の継続、紹介、発信まで含めて設計することが重要です。

この記事では、AISASをベースに顧客の流れを9つのステージに分け、それぞれの段階で顧客が何を考え、どのように行動し、自社がどのような施策を行うのかを整理しました。

業務フローを整理することにもつながる

ファネルを作成することは、顧客の動きを整理するだけではなく、自社のマーケティングや営業、契約後の対応まで含めた業務フローを整理することにもつながります。

誰が、どのタイミングで、何を行うのかを明確にすることで、部門や担当者ごとの役割や、現在不足している施策も見えやすくなります。

さらに、各ステージの件数と移行率を確認し、CRMのステータスと対応させることで、日々蓄積される顧客データから改善すべき場所を継続的に確認できます。

マーケティングファネルは、一度作って完成するものではありません。

まずは仮のステージやKPIから始め、実際の顧客データや業務の流れをもとに見直しながら、自社に合ったファネルへ改善していくことが大切です。
Excelテンプレートも活用しながら、自社のマーケティングと営業の流れを整理するところから始めてみてください。